日本学園は、明治の大教育者であった杉浦重剛(しげたけ)先生が1885年に創設した東京英語学校が前身です。日本の私学としては指折りの長い歴史と伝統を持つ学校です。
当時はいまの東京大学への進学をめざす若者のための予備校で、全国から英俊が集まりました。戦後日本の路線を敷いた吉田茂元首相や岩波書店創業者である岩波茂雄、日本画の横山大観など日本の政官界、経済界、芸術と文化の分野に優れた業績を残す多くの逸材を輩出しました。
杉浦校祖は、社会に貢献する人材を育てたいとの考えから、生徒には「まさかのときに役立つ人間になれ」と説きました。また「社会の一隅を照らす人間になれ」とも教えました。
ここには、立身出世を目的とするのではなく、社会がまさかの状況になったときに、しっかりと行動して役立つことのできる人間になってもらいたい。そして、どんな場所にあっても、そこを照らす人間であって欲しいという、高名でありながら生涯清貧だった校祖の願いが込められています。杉浦校祖は、教育の目的は単に知識の習得にとどまるのではなく、人間形成にあると考えていました。
ところで、その人間形成に関して、杉浦校祖は「人は得意な道で成長すればよい」と生徒を型にはめることなく、伸び伸びと自己研鑽に励むことを奨励しました。ここに、本校の卒業生が多岐にわたる分野で活躍することになった秘密があるのかもしれません。
生徒の個性を尊重する姿勢は、日本学園の<自由闊達な校風>として今日に受け継がれているものです。
私立学校と公立学校の違いは、私立学校がそれぞれの<建学の精神>を掲げて子弟の教育にあたっていることです。私たちは、杉浦校祖の<人間の形成こそ教育の本分><自己の得意を伸ばす>という教えは、時代が変わっても不易の価値を持っていると考えます。
私たちは、伝統ある日本学園の<建学の精神>を今日の時代により良く生かすべく、熱意を持って生徒の指導に当たる決意です。
能動的に自ら課題を発見し、その解決方法を模索することで思考力や判断力を高め問題を解決する能力を身につける。
これまで能動的に主体的に学ぶ大切さが言われてきました。では、どうすればそういった学びの姿勢は培われるのでしょうか。私たちは、まず学ぶべき場に自らの身を置くこと(体験すること)、また学ぶべき事柄に自らの心を置くこと(自分の問題でもあると関心を持ち学ぶこと)が大切だと考えます。男の子の成長として、自らの問題だと思えたことには、特に情熱的に脇目も降らず取り組むところがあります。「創発学」プログラムでは、グループワークなどを通し「決めっている答え」から「自ら作った答え」にたどり着くことを繰り返し学び、能動的な力を身につけていきます。これらは弱点補強から得意を伸ばす放課後の「モジュール講習」の取り組みにもつながっています。
過去の常識にとらわれない、柔軟な発想力・想像力を高め、これからの時代に対応する人間固有の力を身につける。
近い将来、AI(人工知能)が人間の脳を上回る時代が来ると言われています。もちろん、情報収集能力とそれを整理し、むだなく作り上げる論理力を鍛えていくことは今後も大切になります。しかし、今人間固有の力として何が必要になってくるでしょうか。私たちは、柔軟な発想力と創造力こそ大切になると考えます。“にちがく”では、生徒が考えた体育祭や学園祭企画、本校独自の「創発学」プログラムを通して、調査しまとめる力、創造し発信する力を育んでいきます。
自分とは異なる考えや文化をもった「他者」を受け入れ自分自身の意見や考えを表明できる能力を身につける。
グローバル化社会をいかに生き抜くか、英語力をいかに身につけるかという課題はさまざまな場で話題になっています。私たちは、英語力を伸ばしながら、それと同時に母国語の力も鍛え、表現し、相手に納得してもらう力をつけることが大切な学びのステップであると考えます。さらにNGPでは日本の文化のことを学習し、留学中には現地の文化を学びます。異文化の中で、生活・学習することで成長しlocalとgobalの両方の視点や感覚をもてるようにしています。また留学のみならず、他者とのやりとりによって客観的に自分を見られるようになり、その経験が将来の目標を形にしていく過程で大いに役立つと考えています。
すべての生徒が充実した学園生活を送れる場であるために。
かけがえのない自己の「心とからだ」を大切にすること、そして同じように他者の「心とからだ」 を思いやり、助けることを表しています。言葉にすると簡単なことのようですが、大人の世界でもいじめや暴力といった恥ずかしい事件があとを絶たないように、実行するとなると決して容易なことではありません。だからこそ学園生活の中で、社会は一人では決して成り立たないこと、個性の豊かさは社会の豊かさの証明であることを学んでいって欲しいと思います。 日本学園ではどんないじめや暴力も決して許しません。健全な環境で友人と切磋琢磨し、お互いを高めていきましょう。
涵養とは長い時間をかけて地に水がしみこんでいくことを指します。 想像してみてください。コンクリートで覆われた地面に水を流したらどうなるでしょうか。自ら吸収しようとしなければ、どんなに栄養に満ちた水でも地の表面をなでるだけでこぼれ落ちてしまいます。だからこそ、生徒の内にある好奇心を引き出し、学びに対する主体的な姿勢を育むために本学園の教職員は努力を惜しみません。自ら学び得た知識は将来必ず支えとなってくれるでしょう。未知の世界に積極的に飛び出して叡智を広く求め、これと決めたことは誰にも負けないように深く学んで欲しいと思います。大輪の花を咲かすための豊かな土壌を培いましょう。
日本学園は創立以来、世界に名だたる人物をいく人も輩出してきました。生徒諸君には、130有余年の伝統を有する本学園の一員としての高い誇りと強い責任感を体得し、日本を背負って世界で活躍する「大日本人」になって欲しいと思います。そのために、学園生活の中でしっかりとした基礎学力の土台を築き、その上で個の力を磨いてほしいのです。 過去の常識にとらわれない柔軟な発想に富み、誰も踏み入れたことがない道を率先して切り拓いていく力。21世紀に必要とされているのは、コンピューターが決して取ってかわることができない、人間固有の力です。現状に満足せず、常に新しいことに挑戦していきましょう。