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表象文化研究部

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2019春の遠征②「ル・コルビュジェ」(上野 国立西洋美術館)

投稿日2019/3/28

中高生にとっては、“ル・コルビュジェなんて人の名前はおそらく聞いたことがない未知の対象かもしれません。しかし、表象文化研究部の面々は、こういったことはいつものことで、とにかく見てみる、それでおもしろいかどうかは自分で判断する、ということはもう習慣になっています。私はいつも生徒たちがどんな感じでみていくのかを楽しみにしております。

この企画展の画期的なことは、鑑賞の対象であるル・コルビュジェ自身が設計した空間「国立西洋美術館」(世界文化遺産)で、多くの初期絵画(純粋主義を説いた絵画)や建築模型、設計コンセプトを理解する資料を見て回るという点です。キュビズム以降の絵画思潮を切り開こうと本名:シャルル=エドゥアール・ジャヌレ=グリ(=ル・コルビュジェ)と意気投合したアメデエ・オザンファンは、純粋主義(ピュリスム)運動を展開します。そのときに描かれた多くの抽象絵画が今回見られます。立体を平面にどのように描くか、ピカソやブラックやレジェなどへも影響を与えた絵画群です。

 

何よりも生徒たちは、西洋美術館のぐるぐる平行して回る空間に驚いていました。こっちの壁の画をみて反対側の壁の画を見ながらまわっていきますが、一周したことを忘れてしまうような空間。広々として無駄がなく、機能主義に徹しているけれどもなんか品があってセンスある空間。そこに彼の初期絵画や建築模型や設計図や映像が展示されています。近代建築の有名な「サヴォア邸」が最後に詳細に解説されていますが、この「サヴォア邸」を知らないで建築家になった人はまず世界を探してもいないと思います。それだけ有名です。

日本では丹下健三やその弟子たちが引き継ぎますが、本校の先輩・今井兼次(元早稲田大学名誉教授)や日本学園にも近い松濤美術館の設計をした白井晟一などは、もっと人間的な空間を求めて、ル・コルビュジェの近代主義的な流れに反発しました。今井兼次が機能主義に還元されない曲線の多いガウディを日本に初めて紹介したり、教会建築へ向かっていったりした流れを、私たちはこのル・コルビュジェ(=丹下健三)との対比で知っておくといいと思います。

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