「表象文化研究部」という名を名乗るこの部活動の真骨頂が、徐々に生徒たちの力として現れ始めたな、と顧問は今日初めて実感しました。とてもうれしい体験でした。授業は「表象」とは何か?という紹介から始まり、今日は「カオナシ」という表象についてみんなで考えてみしょう、と呼び掛けてワークショップが始まりました。
今回のワークショップコレクション『千と千尋の神隠し』の「カオナシの謎を解く」と題された授業を、高3の平尾君、高2の大岩君をメインに、高2富岡君、高1澤田部長、中3杉田君、中2廣岡君がフォローする形で実施しました。生徒は、このイベントに予約してくれた小学生です。保護者の皆様も、後ろの席で参観していただき、さらに静岡県の私立高校の校長先生・教頭先生をはじめ先生方の視察もありました。
この授業を生徒たちが実施するにあたり、一か月前から入念な話し合いが定期的に行われ、直前の一週間は、毎日午前の夏期講習後に集まり、授業やレジュメの構成を練り直し、授業練習を何度も行いました。映像の限定、導き出すための良質な問いかけなど、みんなで意見を出し合って詰めてきました。
本番では、参加していただいた小学生が本当に面白い答えをどんどん出してもらい、彼らも相当助けられました。しかしいい授業というのは、相互に作り上げていくもので、これこそワークショップだと思いました。電子黒板も上手に利用し、映像を見せては、意見を聞き、書き出して、レジュメに書いてもらい、みんなの意見が総合されて、「カオナシ」の輪郭があぶり出されてきました。最後に「カオナシ=バブル?」というところに到達したときには、参観席からおおーという声とともに、拍手がわき、授業が終了しました。
「表象」の意味はこれだと簡単に限定はできませんが、もしかすると、こうではないかと問うていく過程にとても重要な思考がかかわります。言い切ることで楽になりたいのですが、そこは我慢です。丁寧に文脈のなかで表象同士の関係とその変化をみていく、読んでいく力を今後もつけていきたいと思います。