「どうしてオリンピックはやってもいいのに、運動会はだめなの?」
一部の大人の生命を顧みない経済優先の姿勢にどれ程の人間が握った拳を振るわせ歯を食いしばってきただろう。いつだって我慢強いられるのは子ども達だ――――。
2年前のインターハイ予選。
best16掛けの譲れない一戦。
対するは明星高校。
4Q残12.7秒、66:67 相手ボールのスローインから。
ダブルチームで行く手を塞ぎ、もぎ取る。
0°におとしエンドライン上にドライブ、そのままゴール下シュート。
ネットを通過する、選手がバランスを崩す、
そして試合終了のブザー。
会場に響き渡る歓喜と悲鳴。
あのとき決勝点を決めた選手は大学に進学し、バスケを続け、第一線で活躍している。
時は流れて2021.夏.インターハイ予選。対するはあの時と同じ明星高校。
76(1Q 19:21 2Q 10:26 3Q 25:16 4Q 22:16)79
と惜敗。2Qが大きな痛手となり響いたことは歴然ながら3Qの猛攻は目の覚めるほどだった。18点差つけられての折り返し。3Q開始僅か3min 25secで2点差にまで詰め寄る。まったく隙もミスもない精巧なプレーでしかなかったが・・・。
4Qまでもつれ込み、一進一退のなか残5.3sec、3点ビハインド。バックコートから運ぶが時間は無い!♯8が3Pを放つがリングに弾かれる・・・。
――――試合終了・・・。
にちがく勢の夏が終わった。インターハイ出場の夢は潰えた。
この代はコロナ禍によって活動に制約を受け、3ヵ月の自粛と1年の準自粛により部活動が満足に出来なかった代である。公式戦は疎か、合宿もなく僅かばかりの練習時間によって糊口するばかり。何のためににちがくに入ったのか?バスケを続けているのか?自問自答しない日はなかったに違いない。
部員は与えられた環境、状況を鑑みながら自身の感情と折り合いを付けるが、17,18の高校生が感情のコントロールなんて出来ようはずがない。平生を装うその姿が痛ましい。
仕方が無いのは言うまでも無い。声を挙げても徒労に終わるのはわかっている。でも、でも、だ。手を差し伸べてくれた人間は如何ほどに?
それだけに親心ではないが1つでも多く試合をさせたかった、一日でも長くコートに立っていて欲しかった。結果が大事なことはわかっている。それでも勝利至上主義に固執せず、ほんのちょっと視点を変え、彼らの見ていたかった。
監督の休日は年に片手に足らず。バスケに心血を注ぎ、指導に当たってきた。手塩にかけ育てた選手の晴れやかな日を常に夢見ていた。にちがく勢と共に向かい風の中、歩んできた1年余であった。それなのに・・・。
一つの節目を迎え、彼らは何思う・・・。その胸中は推し量らるれど今日と今日までを振り返るべし。私のように愚痴と弱音ではなくプラスに転じて考えられたし。我慢の先に見える道はじっと堪えた者でなければ歩むことは出来ないはず。
進路を具体化しなければならない時が到来する。大学に進みバスケを続ける者、部活で学んだことを活かす者、はたまた新しい学びを始める者等、9人9色だろう。どうぞ日本4874校ある高校の1つ、「日本学園高等学校」で数ある部活動の「バスケ部」で学びしことを大切にされたし。恐らく、ではなく絶対に、共有した時間と味わった感情、受けた指導と言葉は唯一無二のものである。忘れる事勿れ。
最後に。コロナ禍による休校中、自粛明けのこの1年間。そして入学から今日に至るまでの2年余といつもにちがくを支えて下さり有り難うございました。
他校のように寮生活をしている生徒は勉強と部活+α(生活全般)が求められます。しかしうちの生徒は全員が親元より通い、衣食住が整っているため心配の種はございません。入寮者に比べ精神的に恵まれた故の未熟な面、甘えの面もありましょう。でも何ら不安の種もなくバスケに打ち込めるのは、その環境・状況を保護者の皆様が築いてくれたからこそと信じております。結果はともあれ彼らの成長を喜ぶと共に保護者の皆様に感謝申し上げます。今後もどうぞ宜しくお願い致します。ありがとうございました。
石井康隆