10月31日(日)、衆議院議員総選挙が行われました。高校3年生で満18歳に達した生徒は選挙権があるので、投票した人も多かったことでしょう。
日本で初めての衆議院議員選挙は1890(明治23)年7月1日に行われました。この時は大日本帝国憲法下の帝国議会ですが、国民が国政に参加する第一歩を踏み出した選挙でした。第1回衆議院議員総選挙における投票率は何と93.9%で憲政史上最高となっています。当時は選挙権資格が直接国税15円以上を納める満25歳以上の男子と限られており、有権者が全人口の1.1%しかいなかったという事情があるとはいえ、この投票率の高さには人々の議会への期待の大きさがうかがえます。当時の国民は自由民権運動を通して政治への参加を強く求めていただけに、自分たちの手で政治は変えられるという信念が強かったのではないかと思います。現代と明治期では時代状況が異なりますが、もう一度、自由民権運動時代の人々の政治への情熱を振り返ってみる必要があるのではないでしょうか。
2016(平成28)年、選挙権資格が満18歳以上になった年、当時の高校3年生は主権者教育の一つとして、実際の参議院議員選挙に合わせて校内で参院選「模擬選挙」を実施しました。参議院議員選挙の投開票日の翌日に「模擬選挙」の方の投開票結果の発表も行われたのですが、その時に私は以下のことを生徒たちに話しました。
「選挙で投票して終わりにするのではなく、選挙後も自分たちが選んだ代表が公約を守っているか、国民のために政治を行っているかを点検してほしい。選挙の時だけ主権者として振る舞うのではなく、民主主義をどのように実現するかを常日頃から考えておく必要がある。」
高校生の皆さんはこれからの人生で何十回と選挙に行くことになるでしょうが、選挙が終わった後も引き続き、政治への関心を持つようにして下さい。「民主主義とは何か」を日ごろから考えて行動することが、民主主義の政治につながるのだと思います。
*下の写真は日本で初めての議会が開かれた時の帝国議会議事堂です。