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職員室リレートーク

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つれづれなるままに~「蝉と生徒」石井康先生(高3担任・国語科)

投稿日2022/8/4

 私の住んでいるところは雑木林が多いので季節に応じて、いい表情を見せてくれる。この時期は緑の木々が私の目を楽しませてくれる。朝は余裕無きぼんやりとした頭ながらそれぞれの朝を愛でながら出勤する。帰宅時は既にまっ暗なんだが、この時期の夜は「いとをかし」がひとつふたつ。
 実は蝉たちが羽化をする当にその瞬間に遭遇できる。日没と共に地面からごそごそと這い出した蝉の幼虫たち。さあ何処で大人になろうかとその場所を探す。気の利いた者はさっさと止まり木を見つけ、覚醒のその時を待つ。そうでないものは道でうろちょろ。なんだか人間社会の縮図を見るよう。キャラメルコーン似のそれは徐々に覚醒を始める。背中が割れ、やや緑がかった白透明の羽が現れる。これは神秘的な刹那。1時間以上経って漸く成虫に近い形が表面化する。生物の世界ってほんと神秘。それから一晩かけてそれぞれの色に身を纏い、翌朝には「み~んみ~ん」とか「じ~じ~」と自分の覚醒を鼓舞し始める。
 蝉の声を聞きながらの日々は「~~やかましい・・・」でしかないがあの、羽化の瞬間に遭遇すると、神秘!をかし!でしかない。

 昨日も羽化に励む彼等を垣間見しながら帰路についた。道の真ん中で右往左往する者をつまみ上げ安全なとこに誘導する。

 連日の猛暑で蝉たちも早く鳴きたい!と思うのだろうが今日は雨模様の一日。気のせいか蝉の合唱も落ち着いたか?

 

 部活も一段落し、進路を真剣に考えはじめたクラスの生徒達。漸く、地上に出てきた蝉のよう。これからどう羽化し、自分の未来を見つけるのだろうか。暑い夏は後半戦にはいった。生徒がどのように自分を覚醒させるのか、担任は真剣勝負で正対する。

 蝉の命は1週間だというが生徒の未来は100年だ。今夏は私の余生を賭けるしかない!。

 

 ~夏が過ぎ 風あざみ 誰の憧れにさまよう 青空に残された私の心は夏模様 ~

 

自分の高校時代はもう遠い過去のこと。でもガッコの先生やっているとずっと「少年時代」でしかない。

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