大部分の生徒の進路が決まって、高校3年職員室にもほっとした雰囲気が広がっています。私たち教員の気持ちも少しずつ次年度に向けて切り替わっていきます。
ちょうどこの卒業生が入学した3年前、コロナ感染症拡大を機に本腰を入れて取り組み始めたがウォーキングです。休日は4時起床6kmのコースを走ったり歩いたり、平日は通勤時に最寄りの明大前駅を乗り越し、2駅先の笹塚駅から甲州街道を明大前まで早歩きで戻ってきたり、朝が忙しい時は帰宅時に笹塚駅まで歩いてから電車に乗るという生活を続けています。
その結果何か変化したかと聞かれると、歩くスピードが少々速くなったくらいで、外見的には全く変わらないというのが正直なところです。ただ、ずっと続けられているということは歩くことで得られる何かが私を突き動かしているからだと思います。
自分で決めたメニューをやり遂げた達成感や爽快感もその1つでしょう。街道沿いの商店が朝の開店準備に慌ただしくしている様子を見たり、行き交う人々から1日の始まりのエネルギーを感じて私自身も元気をもらったりしているということかもしれません。
話は今年卒業の生徒のことに戻りますが、私が担当したスポーツコースの生徒達は、節度ある明るさと見識を持っていて、120名の卒業生の中でも特筆すべきクラスでした。
そのクラスの一人と偶然帰り道で出会った時のことです。信号待ちの僅かな時間に、彼はなぜ私がこの道を歩いて帰っているのかを訊いた後、別れ際に「お気を付けて」とひと言。さりげない言葉でしたが、優しい心遣いと成長を感じて私の歩みも一層軽やかになったのでした。