いよいよ2学期の足音が聞こえてきました。学校生活の再開が楽しみな人も、憂うつな人も、いるでしょう。私は休みボケの頭のねじを巻き直して、皆さんとの再会を楽しみにしていますよ。
さて、「相談室に行くことを、友だちに、からかわれた」という話をごくたまに聞くことがあります。そんなとき私は、「からかうなんてひどい!」という腹立たしさと、「それでも来てくれた、この子はすごい!」という敬意を感じます。同時に、相談に行くことは素晴らしいことで大事なことなんだという宣伝が、まだまだ足りていないのだなと反省もします。
相談室に行くことをからかう気持ちって、どんな気持ちでしょう。困ったことがあるのは、恥ずかしいこと?カウンセラーと話をするのは、カッコ悪いこと?そもそも思春期は、「大人なんかムカツク!大人に頼るなんてダサい!」と感じる時期ですから、そう思うのも無理はありません。
それでも、相談に行こうとしている相手に向かって、わざわざその考えを口にすることこそダサいと、私は思うのです。
日本の大人の社会にも、メンタルクリニックやカウンセラー(心理士)にかかること、精神的な病への偏見が、まだまだ残っています。長い人生の中では、幾度となく山が現れます。今までは、それほど大きな山に出会わなかった人も、その後の人生のどこかで、1人の力ではどうにも前に進めないような巨大な山に出会うことがあるかもしれません。精神的な不調に見舞われることも、病院に通うようになることも、あるかもしれません。
「明日は我が身かもしれない」とか、「その人の本当のつらさは、その人にしか分からない」とか、想像力を働かせることができれば、他者をバカにしたり、いじめたり、否定したりすることなどできないはずなのです。もし、相談に行くことを繰り返しバカにする人がいたら、そういう人こそ何かが足りなくて、傷を抱えていて、余裕がない人なのだろうと思います。そういう人にこそ、話しに来てほしいと思います。
一方で、相談しようかと迷っている人が、「相談に行くのは恥ずかしい」と感じることは、ごく自然なことです。相談することは、自分の弱さを語ることでもあります。まして、初めましての相手に話すのは、緊張して恥ずかしくて当たり前です。
でも大丈夫。心理士も医師も専門家です。上手に話を聴いてくれるはずです。もし、何回か通っても自分に合わないと感じたら、相談先を変えてみればよいのです。私も、定期的に心理士さんやお医者さんに話を聴いてもらっています。話を聴いてもらうことは、自分の行動や気持ちや考えを整理し、新たな視点を得ることにつながります。だから、相談に来る人は、行き詰まっているけれど、何とか進んでいきたいと前を向こうとする人なのです。相談に来た自分を誇りに思ってほしいなと思います。