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職員室リレートーク

「卒業おめでとう」伊藤先生(中学部長・国語科/創発科)

投稿日2024/3/21

中学3年生諸君、卒業おめでとう。
私からは1月に取り組んだ研究論文発表についての感想と、卒業に当たっての言葉を述べたいと思います。

 1/25(金)26(土)と中学3年生は研究論文発表を行いました。「研究論文」は「15年後の自分」をテーマにして、職業・仕事を中心としてそれぞれが研究を行い、中学生全員を対象にプレゼンテーションを行うもので、すでに20年近く続けてきているものです。

私も毎年、時間を合わせて発表会に足を運ぶようにしてきましたが、研究論文のポイントは自分が関心のある職業について「調べてお終い」という「調べ学習」に終わるのではなく、自分が解明したい「問い(「テーマ」)を定めて、それについて「こうじゃないかな」と仮説を立てて検証する、自分で考える、必要なことがらを調査する、データを取ってみる、あらたに考える、という作業を繰り返しながら、「問い」に対する自分なりの「答え」を見つけ出すことが大切です。

正直、例年「調べ学習」で終わっている「論文」もあったように感じていました。

その意味では今年は、自分の立てた「問い」に迫ろうとするものが多く見られ、熱意が十分に感じられる、それぞれの個性にあふれたものが多く見られました。

2日間、ほとんど飽きることなくそれぞれの「プレゼン」を聴くことができました。

中には、自分の「問い」について、街に繰り出して若者に街頭アンケートを行うなど、こういうアクションを行う生徒もおり、このような活動がさらに次なるアクションを生み出す可能性を強く感じました。

 

さらに考えたのは、諸君が発表した「夢」はけっして15年後の未来に達成されるものではなく、「今すぐ」始められるものであるということです。

ラップや音楽についての発表がありましたが、レベルの高いものを作れるようになることを待っている必要はありません。今すぐにでも自分が挑戦して作ったものを、ネット空間を活用して発表することは、今の時代、全く難しいことではありません。何らかの形で発表すれば、君はすでに「アーティスト」です。

さらに、「資格を取りたい」というものもありましたが、「学歴」が必要となるもの以外は今からでも受検して取ることができます。

はたまた、「起業したい」というものもありましたが、これも「将来」を待つ必要はありません。「花屋を営みたい」という発表がありましたが、それと組み合わせて人々に「花」を通じて幸福を届ける、そんなビジネスモデルを考えて、実行してみたらどうでしょうか? 中高生が起業して会社を運営しているという話しも聞くようになりました。中高生を対象にしたビジネスモデルコンテストもいくつも開催されていますよ。

「殺処分をなくしたい」。これも、そのために中高生ができる「アクション」を実際に考えて実行してみてはどうですか?

私はこれらのことを、発表後、中3生全員を集めて伝えました。

 

「学生はまずは勉強、実行は大人になってするもの」と考える時代はすでに終わっています。インターネットを中心に高度に発達した技術は、中高生という若い世代でも社会の中で様々な問題解決することを可能にしています。講堂でドローンを飛ばした生徒は、大人である私以上に先端技術に通じているはずです。時代はそれを求めています。特に日本という閉塞した社会はそれを大きく求めています。

3年間で構築したこの素晴らしい「仲間(company)」の力と、高校から進学してくる新しい仲間たちのもつ未知なる力をあわせて、諸君の研究発表の成果をさらに形にするように追求してください。この先、私たちは「伴走」しながら、その手伝いをする準備は大いにあります。

 

さて、いよいよ卒業です。

 

私は4月から中学に来たので、諸君とは今年1年のつき合いでした。
5月には、道徳でコミュニケーションについての授業をしました。
自律神経のうち、特に副交感神経をしっかりと働かす呼吸法について練習しました。覚えているかな?「口からゆーーーっくり吐いて、鼻ですっと吸う」ですよ。
緊張した時、勝負に挑む時、モヤモヤした時、頭にきた時など、ぜひやってみてください。
さらに他者の話しを傾聴し共感的に受け止めることについて実践しました。

 

相手の「感情」について考え、それを言葉にしてあげること、さらにその感情の根底にある相手が必要としている「NEEDS」について考え、それを言葉にしてあげる。

ともすれば、人は自分の感情について、その原因を他者に求めてしまいます。
「お前、俺を怒らせたな」「なんで俺はこんなに悩まされなければならないんだ」など。
でも、本当は自分の中に大切にしたい「自分が必要としていること」があって、それがかなわないから「感情」は時に揺れるのです。

 

他者の言動はきっかけにすぎない。
そのような自分や他者の中にある「NEEDS」に目を向けて、それをしっかりと抱きしめた時、真に自己や他者を愛することにつながるのです。

そのことをもう一度諸君に伝えたい。
ぜひ、冷静なキリンのコミュニケーションを身につけてください。

 

さらに、2学期の後半から3学期にかけて、一人一人全員と「お話し」をしました。
基本的に、諸君の話を聴いていただけなのですが、驚いたのは、ほぼ全員が自分が感じていることをしっかりと言葉にしてくれたことです。

「自分が今あるのは、仲間たちのおかげだ」
「本当はオープンな性格ではなかったが環境が自分を変えてくれた」
「本当は部活が辛くてたまらなかった」
などなど。

これには感嘆しました。
3年の間に起きた自己の変化や思いを、ことばにしてしっかりと相手に伝えられる。
これは諸君同士の関係性のみならず、大人として伴走し続けた鶴巻先生、赤木先生、石井先生の関わり方も大きいと感じました。
私自身が話しを聴いていて、楽しかったし癒やされました。貴重な時間を持つことができて、諸君には感謝しています。

 

さて、諸君は高校に進みます。
私は来年も中学にいますから、また本当の気持ちを伝えに来てくれるとうれしく思います。外の学校に進学する人も、いまだ自分の生命が発露する先を見つけられずにいる人も、ここは諸君の母校であり母港です。「その時」をいつまでも待っています。

 

「すべての夢には続きがある」

その夢の続きに、私たちはぜひともつきあいたい。

卒業おめでとう。
君の人生に幸あれ!

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