日常ってそれなりに忙しい。「学生がうらやましい」なんて大人たちは言うけれど、宿題に部活、定期試験が終わったら次は実力試験と、やらなきゃいけないことに終わりはない。
そんな高校生の頃に読んで、静かに衝撃を受けた本です。
「慣れ」に流されているとあっという間に時間は過ぎて行ってしまう。人に言われたことや誰かが決めたことをこなすのではなく、何か自分で新しいことを始めなくてはと焦った記憶があります。
それからはるか年月が経ち、この春にまた読み直してみました。
今の自分にとっての「砂漠」は何なのだろう。
そういえば季節の移り変わりに昔よりも鈍感になってきたなあ。
などと、前には気づかなかった新しい発見や新たに考えさせられることがありました。
さびしく、悲しい物語ではあるのですが、改めて良い本だなあとしみじみ感じました。
何も考えなくても指一本で無限に時間をつぶせる娯楽がある現代にあって、本を読むのは頭の体力が必要で敬遠しがちです。
けれど、こういう良い本、自分の中で一生付き合えるような本との出会いはかけがえのないものだと思います。ちょっと力を出して本を読んでみませんか。
スマホもきっとこの物語における「砦」の一つです。