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表象文化研究部

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「ミケランジェロー理想の身体」(国立西洋美術館)

投稿日2018/7/10

期末試験最終日、中2(奥村・佐藤・廣岡)中3(杉田・中山)高1(大竹・澤田)高2(大岩)と副顧問ジェイミー先生と顧問で国立西洋美術館に行きました。ミケランジェロについては、この表象文化研究部ではおなじみです。2015年富士美術館「レオナルド・ダ・ヴィンチ「アンギアーリの戦い」展」でミケランジェロがダ・ヴィンチに対抗して描いた「カッシーナの戦い」の唯一残っている模写が来ていました。また昨年、三菱一号館美術館で「レオナルド×ミケランジェロ展」で主に彫刻のために描かれた多くのデッサンと大きなキリスト像を見ました。

さて、今回の目玉はまずミケランジェロの2点「ダヴィデ=アポロ」像と「若き洗礼者ヨハネ」像、そして預言者ラオコーンとその息子たちを襲う海神ポセイドーンの巨大な海蛇を彫った「ラオコーン」像の当時の写しです。ミケランジェロが活躍していたフィレンツエ・ルネッサンス当時に発見されたもので、ミケランジェロは「理想の身体」を見出す前に、古代ギリシャのさまざまな彫像を研究し、この「ラオコーン」の体のひねりとバランスにも多くのヒントを得て、今回来ている「ダヴィデ=アポロ」像に存分に活かしています。題名が独特なのは、ダヴィデなのか、アポロなのか確定できない、ふたつの要素をもった彫像だからです。ダヴィデはゴリアテを倒したことで有名、アポロは太陽神。

何よりも感動したのは「若き洗礼者ヨハネ」像です。スペイン戦争で破損、その後修復しミケランジェロ作とわかった作品で、戦争の惨禍の犠牲になり、その修復をした姿そのものが、何か洗礼者ヨハネの聖書の中での厳しい末路を思わせ、うつむき加減の悲しげな表情に心をうたれるひとは多いと思います。洗礼者ヨハネといちいち言われるのは、黙示録を書いたヨハネが別にいるからです。洗礼者ヨハネは杖をもって荒野をさまよいキリストに洗礼をしましたが、その後、ヘロデ王の娘サロメの願いによって、斬首されたことで有名です。

そこからの「復活」を願って彫られたかのように思われるのは、その後のこの彫像のたどった運命を考えても、現在に何かを送り届けているように感じます。

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