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職員室リレートーク

「自分を見つめ直す時間」和氣先生(中2副担任・社会科)

投稿日2024/10/19

 「才能」や「才能がある人」のことを英語で「タレント」と言いますが、その語源は、ギリシャ語の「タラントン」という通貨の単位が語源となっています。
 今回は、新約聖書に出てくる〈「タラントン」のたとえ〉という話を紹介したいと思います。

 

 ある主人が旅に出る前にそれぞれの力に応じて、三人の僕(使用人)の一人に自分の財産から5タラントン(3億円)貸し与え、もう一人には2タラントン(1億2千万円)貸して、最後の一人には1タラントン(6千万円)貸して、いつ帰るとも告げずに旅行に出かけました。そして、何年もしてから主人が突然長旅から帰ってきて、貸した金額の清算をし始めたのです。
 その間に、5タラントン預かった使用人は才能を生かして5タラントンもうけ、2タラントン預かった使用人も何とか2タラントンを元手にして2タラントン増やしたのです。ところが1タラントン預かった使用人は土の中に隠しておいたのでした。主人は最初の2人に「忠実な良い僕だ。よくやった。お前は少しのものに忠実であったから、多くのものを管理させよう。」と褒めました。
 しかし、最後の人には「怠け者の悪い僕だ。それなら私のお金を銀行に預けておくべきであった。そうしておけば、利息付きで返してもらえたのに。」と言って非難したのでした。

 

 話の内容としては、主人から預かった財産を、主人の期待と信頼に応えた人は、更に多くのものが与えられますが、失敗を恐れて何もしなかった人は、全て取り上げられて、外に放り出される話です。

 

 このたとえ話から、あなたはどんなことを思ったでしょうか?

 私自身、初めて読んだときは「1タラントンの者に対して、どうしてそんなに酷いことをするのだろう?」と少し不満に感じていました。しかし、よく読んでみると、主人は使用人それぞれの力に応じて財産を貸し与えたと書いてあります。このたとえで指摘しているのは、私たちは一人残らず、神さまからそれぞれにふさわしい才能(タレント)が与えられているということなのです。

 神さまから与えられた才能に気づかない人もいますが、多く才能が与えられていると思う人は、その才能に溺れることなく、一生懸命その才能を磨いていかなくてはならないのです。才能がないと思う人は、ないことを嘆いて怠けるのではなく、自分に少しでも与えられている他人とは違う才能に気づいて、一生懸命に磨きをかけていかなければならないのです。

 

 行動を起こすうえで、失敗に対する不安や恐れは、誰しもが持ち合わせていると思います。しかし、私たちは完璧でなくてもいいのです。その失敗から得るものは、あなたが与えられた才能に磨きをかける財産になるはずです。

 才能の多い少ないに関係なく、一人ひとりは等しく尊い存在であり、人とは違う自分に与えられた自分らしさに気づいて、自分らしい「花」を咲かせてください。

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