1.「ルーヴル美術館ー肖像芸術展」(国立新美術館)
ルーヴルにはもう30年前に行ってそれ以来行っていません。ときどきルーヴル展が来るので、こういう機会に見に行くようにしてきました。今回は肖像に焦点を当てて、エジプトからギリシャ、ローマ、19世紀くらいまでの肖像画が来ていることになると思います。110点、とても見ごたえがありました。
有名なのは「マーラーの死」(ダヴィッド)とナポレオンの肖像や彫像、デスマスクなどだろうか。「マーラーの死」は、昨年大岩君が単身フランスに行った記録として、このHPにも紹介しています。
それ以外にボッティチェリやレンブラント、ベラスケス、などの肖像画がきています。エジプトのものは、ミイラの顔のところにつけた肖像画、ギリシャ・ローマはアリストテレスやホメロスなどの彫像も来ています。どきっとさせるのは、メメントモリ(死を思え)ではないが、亡くなる前の貴族の夫人をモデルに彫像にしているグロテスクなものも展示されています。また、以前西洋美術館でたくさん見たアルチンボルトが2枚(春と秋)が来ています。
メッサ―シュミットの感情表現はちょっと立ち止まって見たほうがいいと思います。これは少し気がおかしくなった彼が家に引きこもって、自分をモデルに何体も作ったらしい。
2.「建築の日本展」(森美術館)
何よりも千利休の「待庵」(ものつくり大が再現したもの)の原寸大に、3名ずつ入れて体感できるのはとてもすばらしいと思いました。私のなかで響いたのは、木造建築の構造性を、この展示会では堪能できるところです。木組みの工夫次第で、有名寺院の大門から伽藍までが築かれているのがわかります。出雲大社や東大寺南大門ばかりではなく、さまざまな木製の模型が置いてあり、説明や写真だけではなく、立体展示でもって体感できる点がこの展示はすばらしいと思いました。
丹下健三は、日本の近代建築の父だと思いますが、ル・コルビジェから影響を受け、基本的にはフラットな平面で構成する機能主義建築をたくさん設計しました。広島の原爆資料館、東京都庁、香川県庁舎、大阪万博のお祭り広場の建物などいつも話題に挙がります。彼の邸宅の模型も来ていておもしろいと思いました。やはり自宅も彼の建築哲学が貫徹されていて、家の下は通り抜け可能で、子供たちが遊べるようになっています。
谷口吉郎の息子・谷口吉生の建築にもちょっと目を瞠りました。水を使った建築は、東京国立博物館の法隆寺宝物館で見ることができますが、先日行った金沢の鈴木大拙館も彼が設計しました。そこも水を使った建築で、堪能しました。
伊東豊雄や安藤忠雄、磯崎新、その他たくさんの現代建築の事例が、模型とともに体感できるとてもよい展示だと思いました。
この夏、どれにしようかなと迷われる方には、この展示を私はお勧めします。