想像することと、違いを受け入れること。
常々、人間関係において他者に対し大切なことだと思ってきました。
そう思って生きてきたつもりでも、この三ヶ月ほどそれを痛切に感じたことはありませんでした。
三者三様、十人十色、百人百様、千差万別・・・
願いは明らかにただ一つ、世界中が同じであるのに。
三月からのそれぞれの「暮らし」と「価値観」は、まさにそうだったのではないでしょうか。
日常が奪われ、突然の休校、あらゆる閉鎖、在宅勤務、外出自粛、他人と「会う」ことが遮断された日々。
「顔を見れば」「実際に行ってみれば」わかることが、ふいにわからなくなったかのような日々。
「早く元に戻りたいね」誰もがそう言葉にしながら、でも、もう「元に戻る」ではないのだと世界中が薄々わかり始めてきた日々。
生徒の皆さん、本当によく乗り越えました。保護者の皆様も本当にお疲れ様でございました。
入学式・始業式の朝、正門から歩いてくる生徒たちの姿を見たとき、感無量、思わず空を仰ぎました。
生徒の存在で一瞬にして息づく校舎と、まぶしい新緑に思わず目を閉じ、様々なことへの感謝の気持ちが溢れました。
リモート授業をつくるとき、想像力をこれでもかと働かせました。
生徒たちは、保護者の皆さんは今、どうしているだろう、どんな気持ちでいるだろう。
学校に教師にどのようにされたら安心できるのだろう。
与えられた課題に一人で熱心に取り組める生徒もいれば、そうでない生徒もいて当たり前です。一人ひとり違うのですから。それが「学校に来る」意味でもあるのですから。
では、「学校に来る」ことができない今、生徒とご家庭にとって本当に必要なこと、我々ができることとは何か。
教材研究やリモート授業動画作成も、これを無視して進められるはずはないのでした。
想像力には限界があり、「会って」「顔を見て」「反応を見て」教える以上にできることはない、教育に限らずそう思ってラインを引き、あきらめるのは楽ですし、人間関係においてそれは事実の一つかもしれませんが、それだけが真実ではないでしょう。
本当にそれぞれの三ヶ月だったと思います。
一日の過ごし方も、心身の健康状態も、この出来事の捉え方も、目や耳にした情報も。
この三ヶ月は、それぞれのやり方でなんとか乗り越えた生徒たち。一人ひとりの気持ちに寄り添い、まずはありのままを受け止めたい、心からそう思います。
状況はまたいつどのように変わるかわかりません。
教職員一同、よりいっそう気を引き締め、保護者の皆様が安心して送り出せる環境を維持していきたいと思う六月です。