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「『経験できなかった』という経験」 瀬戸先生(カウンセラー)

投稿日2021/2/14

 私、カウンセラーですが、実はプライベートでは、せっかちです。我が子の成長を何年も待っていられません。グズグズに付き合うのも苦手です。不安なことは、すぐに解決したいです。なんでこんなにせっかちになっちゃったんだろうな…と思います。子どもの頃は、もう少しのんびりと時間が過ぎていたように思うけれど。

 便利な現代社会のせいかしら?1人1台の電話を持つようになって、時間を選ばず連絡したいときに、いつでも直通で相手につながる。ちょっとした空き時間にも、スマホを操れば、いくらでも時間は埋まる。待つ練習をしなくなった、空いた時間を味わうこともしなくなった。大人になったせいかしら?仕事や家事や育児やら、いくつもの役割や責任を抱えるようになった。どれもそれなりにやろうとすると、圧倒的に時間が足りない。いつも走っている感じ。タチドマッタラ、ヤバイ、オワラナイ!と思ってしまう…。

 でも。子どもたちの時間の流れは違う。スマホを眺めたり、他愛無いおしゃべりをしたりする時間にも、その時にしか味わえない豊かさが、たぶん、ある。成長のスピードだって、一定ではない。立ち止まったり、滞ったり、ある時グンと伸びたり。1秒、1分、1日、1か月…その一瞬だけで子どもの未来を決めつけないように、一瞬を待つ時間を、なんとか耐えていかれないだろうか…。

 子どもたちの“今”という時間を見つめてみる。コロナの影響で、部活や大会、行事、誰かと遊びに行くことも難しくなった。経験できなくなった、失われた時間がたくさんある。ムカツク、悔しい、つまらない。家で“ダラダラ”する時間が増えている子どもたちも多いだろう。大人から見たら、「何をダラダラと…」とイラっとするかもしれない。
 でも、それは同時に、“「経験できなかった」「経験しなかった」という新たな経験”でもある。「部活ができない経験/部活をしない経験」「学校に行かれない経験/学校に行かない経験」などなど。だからこそ、なんとか一瞬立ち止まって、ダラダラしながら“経験できなかったという経験”を生きていこうとしている子どもたちを、まずは見守りたい。
 どんなツマラナイ経験も、いつか何かにつなげられるかもしれないよ、そういう思いの種を子どもたちにまけるような大人になりたい。

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