私が高校生の時に使っていた地図帳が手元にあります。受験勉強で使い込みボロボロになったこの地図帳は、今の国際情勢を知るうえで大変参考になる資料と言えます。国際関係のページを見てみると、ソ連を盟主とするワルシャワ条約機構(WTO)とアメリカを盟主とする北大西洋条約機構(NATO)が向き合う東西冷戦の様子が描かれています。ソ連のページには集団農場(コルホーズ)のイラストや、レニングラードなど旧地名が。
この地図帳を使って学習していた高校1年生の時にベルリンの壁が崩壊。2学期終業式の晩に見た、ルーマニア革命でチャウシェスク政権が倒されたことを報じるニュースは今でも覚えています。社会主義圏がガラガラと崩れていく・・・
2年生の時には東西ドイツが統一、3年次にはバルト三国のソ連からの独立、ユーゴスラビア解体、そして大学受験も差し迫った12月にはついにソ連が崩壊。私の地理ノート、ソ連地誌のところに「CIS(独立国家共同体)」という単語が書き加えられたのでした。高校3年間でこうも世界が変わり、手元の地図帳が大きく塗り替えられていくことに、高校生ながら大変衝撃を受けました。
ソ連崩壊から30年、ウクライナは予断を許さぬ状況にあります。いったい何が起きているのか、そもそもウクライナってどこにあるの?NATOって何?ウクライナ問題は、日本から距離的には離れていても、決して対岸の火事ではありません。ロシアは日本の隣国ですし、北方領土問題も解決してません。ウクライナ問題に対するNATOやアメリカの動き、それを注視している中国、近いうちに人口が世界最大になるであろうインド、豊富な資源と労働力によってこれからの伸びが期待されるアフリカ、タリバンが復権したアフガニスタン・・・世界は今どの地域も目が離せない状況にあります。地理は、自然環境や産業立地を知るだけでなく、そこからその土地の生活・文化を理解し、今後のよりよい社会を考える学問です。その土地の風土に根差した文化を理解し尊重しようという姿勢は、世界の友好につながるとても大事なことです。なので、「地理という科目は世界平和につながる学問なんだよ」と常々思っています。
今週は今年度最後の授業となります。最後のテーマは「ウクライナ問題」です。