去年まで高校一年生は「国語総合」という授業だったのですが、今年度からは「現代の国語」と「言語文化」の二つに分かれて授業をしています。
僕が担当している「言語文化」は、古典と小説・詩・俳句・短歌などの分野を融合した教科です。
一学期は、教科書の定番、芥川龍之介の「羅生門」を扱いました。今までと違い、小説「羅生門」のもととなっている「今昔物語集」などとの差異を比べることができ、非常に面白かったです。
「羅生門」には異なるラストシーンがあるのを知っているでしょうか。
主に今の教科書や出版されている書籍では「下人の行方は、誰も知らない。」となっていますが、1915年の初出「帝国文学」では、「下人は、既に、雨を冒して、京都の町へ強盗を働きに急ぎつつあつた。(をはり)」とあります。芥川がこの部分の描写に苦心していたことがうかがえます。
また「今昔物語集」には「此ノ事ハ其ノ盗人ノ人ニ語ケルヲ聞継テ此ク語リ伝ヘタルトヤ」とあり、噂のように多くの人が話を享受していることが示されています。
あなたはどのラストシーンが好きですか?