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職員室リレートーク

「日本語学のすすめ」多胡先生(高2副担任・国語科)

投稿日2023/5/30

 日本学園に入職して早くも2ヶ月経とうとしています。4月はあれほど時が経つのを長く感じたのが、今では加速度的に時が経つのを早く感じております。リレートークで何を書こうか思案しているうちに早くも自分の番が回ってきました。
 情報をファストフードのように摂取してタイパ(タイムパフォーマンスの略)に固執してしまう現代人について書こうか、現代人必須の金融リテラシー(2024年に新NISA始まりますね)について書こうかなどあれこれと思案した末に今回は「日本語学」について書こうという考えに至りました。

 

 日本語学というのは言語に着目して音声、意味・用法、方言・新語、文字など多岐にわたって研究される学問です。「お薦めの本は何ですか?」と聞かれて多くの人は文学をお薦めすると思いますが、私はあえて文学ではなく日本語学の本をお薦めするようにしています。
 「日本語を知るためのお薦めの本は?」と聞かれたら答えられるでしょうか。大人でも答えるのに苦慮すると思います。そこで日本語に少しでも興味を持って、紹介できるようにお薦めの日本語学の本を紹介します。

 

『日本語の歴史』(山口仲美)岩波書店
これ一冊で日本語の大まかな移り変わりを知ることができます。音声に関する話では室町時代のなぞなぞが紹介されます。「母には二たび会ひたれども、父には一たびも会はず」というなぞなぞですが、答えは「くちびる」です。なぜでしょうか。ヒントは「は」の音です。

 

『犬は「びよ」と鳴いていた』(山口仲美)光文社
「ぐらぐら」や「さらさら」など英語の約3倍・1200種類にも及ぶという日本語のオノマトペ。犬の鳴き声は「わん」ではなく「びよ」だったという話が興味深いです。ではなぜ犬の鳴き声は「びよ」から「わん」に変わったのでしょうか。

 

『「あ」は「い」より大きい?!-音象徴で学ぶ音声学入門』(川原繁人)ひつじ書房
日本語の音声に興味を持ったらまずはこの1冊。「ポケモン」や「ゴジラ」など身近な題材を例に音声学の楽しさに触れられます。名前の濁音の有無は何に影響するでしょうか。著者はYouTubeも動画投稿されていて、「プリキュア」の音声学が特にお薦めです。

 

『ヴァーチャル日本語 役割語の謎』(金水敏)岩波書店
博士キャラには「~じゃ」、お嬢様キャラには「~てよ/~だわ」が使われるといった役割語を解明しています。我々は無意識に発話の文末表現に着目して性別や性格を判断していることに気付かされます。役割語の一つのお嬢様ことばがどのように発生し、お嬢様キャラに根付いたのでしょうか。

 

まだまだ紹介したいところですが今回はここまでとします。日本語学に興味を持つ生徒がいれば、今後モジュール講習で日本語学を開講したいですね。

ぜひ一緒に日本語を探究しましょう。

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