8月31日(土)始業式の後、中学1・2年生を対象に「明治大学3Dスキャンプロジェクト」の説明会が行われました。このプロジェクトは明治大学理工学部の研究室が1号館をはじめとする日本学園の校舎を3Dスキャンによってデータ化して保存しようという試みです。生徒たちにとって、大学ではどのような研究が行われているかを知る良い機会になったと思います。
さて、日本学園の1号館は1936(昭和11)年、日本学園の前身である日本中学校がここ松原の地に移転した際に建てられました。校門から入ると目の前に仰ぎ見ることのできる3階建ての堂々たる建物で、2009(平成21)年、国から登録有形文化財の指定を受けています。
設計者は本校の卒業生である建築家の今井兼次で、今井は有名な建築家のアントニ・ガウディを日本に紹介したことでも知られています。今井の他の作品としては、長野県の安曇野にある碌山美術館(明治期の彫刻家である荻原守衛の作品を展示)や長崎にある日本二十六聖人殉教記念館などが有名です。
ちなみに私は荻原守衛という、青春の全てを芸術に燃焼させて、若くして亡くなった天才彫刻家の作品が好きなので、自分が日々働いている日本学園の校舎と碌山美術館とが同じ建築家の設計だと知って嬉しくなったのを覚えています。
1号館は歴史のある貴重な建物というだけでなく、近年は耐震補強工事や内壁の塗装などのリニューアルが行われてきました。また、前述したように現在は明治大学理工学部による校舎の3Dスキャンプログラムが進行中で、文字通り伝統と最新技術の融合が目指されています。
巨柱が並んだ1号館正面玄関は、今でも毎日、登校する生徒たちを見守っています。日本学園を訪れる人は、校門をくぐると樹々の緑の向こうにそびえ立つ1号館の建物をぜひご覧になってください。