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バスケットボール部

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新人戦本大会 ~都立広尾戦(1/6)

投稿日2019/1/8

 

小さい頃は神さまがいて 不思議に夢を叶えてくれた やさしい気持ちで目覚めた朝は 
おとなになっても 奇蹟は起こるよ     (「優しさに包まれたなら」)

 

 子どもの頃は誰しも神さまの存在を信じていた。困ったときに助けてくれる、願い事を叶えてくれる神さまは、人懐っこくいつも傍らで温かく見守ってくれ、それでいて厳か且つ漠としていた。形にしたら赤いよだれかけと微笑みがトレードマークのお地蔵さんのようなものか。だから仮面ライダーやプリキュアのようなヒーロー性に富んだものではなく、サリーちゃんやハリーポッターのように指の一振りや呪文で魔法をかける憧れの対象でもなかった。大人になっても神さまの存在に疑問を抱くことなく、むしろ心の拠り所となりに、時に依存心も手伝って思わず「神さま、仏様、お願いですから」と唱えることも。

 年明け早々に行われた「東京都新人戦本大会」。新チームのデビュー戦にしては手痛い洗礼を受けた。満身創痍のなか終了のブザーを耳にした選手達の表情には喜びの表情とは縁遠く安堵と疲弊がにじみ出ていた。2回の延長戦を制した者達の口数は少なく、応援席への挨拶を済ませ足早にベンチを後にする。

 誰もが予想だにしなかった展開。チームが最高の状態でなかったというのは言い訳。中盤以降、追われる側から追う側に。3Qから広尾はゾーン・ディフェンスの布陣でにちがくの行く手を阻む。本来、ゾーンは起爆剤に過ぎず、継続するものではない。しかし広尾は思いがけず功を奏したそれに堅守の構えをいつまでも崩さず。マンツーマンならば・・・。にちがく勢のゴールへの意識を躊躇させる。手を伸ばせば届く見慣れたゴールがやけに遠い。不穏な空気はコート上だけでなく、会場全体に漂いはじめる。広尾への声援が徐々に膨らみ、にちがくには否応無しの向かい風となる。〝にちがく、負ける?広尾いけんじゃね?〟四面楚歌の会場で狡猾?好奇?の眼に晒されているような気がして見ている私の心中は穏やかに非ず。広尾の勝利を期待ではなくにちがくの敗退を望むような空気を感じたのは私だけではないはずだ。

 勝負の神さまは此度、〝不断の努力を惜しむことなく、一意専心にかつ直向きに励むにちがくが窮地に陥ったので、救済する、願いを叶えるために試練を彼等に与えて〟くださった。無理矢理こじつければ、なかなか趣向を凝らしたご配慮か。でも少々、酷じゃないっすか、神さま・・・。

 日頃の練習は我等に味方したか。どん詰まりの刹那に奇蹟は起こった。シーソーゲームのOT。会場は広尾の勝利を疑わず、城東は〝来週は広尾か、♯4には要注意〟などと呟いていただろうその瞬間。にちがくの希望はか細くなれども今回も、失われることはなかった。♯7,♯8の渾身の3Pに望みが繋がる。それはまさしく日々の練習と地道に続けてきた自主練の成果なり。練習通りの場所から放たれたボールはきれいな弧を描いてネットに吸い込まれる。練習通り。いつも通り。♯4の1Qに捻った足は痛かっただろうに、弱音を吐かずやりきった。(事実、足の負傷は深刻でびっこを引かねば歩けぬほどだった)途中出場の♯6,♯9の働きと踏ん張りもたいしたもんだった。

 終始劣勢だった、経験値の少ない選手があった、ゾーンを攻落できなかった。背負った重圧もあった。でも僅差ながらも試合をモノに出来たのは選手にとって大きな自信になったことは事実。最期はメンタルの強さと集中力が命運を分けるのに一役買ったといえる。元々、何事にも動ぜず安定のメンタルを持ち合わせた屈強な漢達ではなかった。とはいえ今回のようなチーム事情に嘆いている暇はなく、腹括るしかなかった。蓋を開けてみれば予想以上の苦戦を強いられる。しかも延長戦、延長戦。これで気持ち乱れ、折れそうになるのが高校生。約2時間の試合を制せたのはやはり「こころ 」。〝強い〟のではなく〝意外と脆くなかった〟と言う表現は生徒に叱られるか?

 では何が心を維持、いや踏みとどまらせたのか、その要因は監督のゲームワークにある。布施先生は〝何やってんだ、おまえら!!!〟と怒鳴ることは終始しなかった。タイムアウト、ピリオド間は僅かな時間ながらベンチに速やかに座らせ語る、励ます、思い出させる、檄をとばす。〝びびってんじゃねぇ!!!〟ひたすらに。コートに送る前の儀式には一緒に手を合わせる。「心技一体」と言う言葉に併せ「師弟一体」を彷彿とさせる舞台裏だった。チームスポーツってやっぱ、いいよね。

 にちがくのバスケ部は神の力に頼らず自力で勝ちを掌中に収めた。慌てた局面を迎えても何とか集中力で乗り切った。答え合わせの結果は高得点には及ばないだろう。でも勝つ論理、プロセス、頼れるモノ(探しているモノ)はすぐ傍にあることをプレーの中で体得したに違いない。驕る事なかれ、常に挑戦者たれ、謙虚たれ。 来週は万全の状態でダブルヘッダー に臨もう。コートの中からも外からも支えてくれる人達と皆で臨もう。神さまにも頼んで一緒に臨んでもらうか?いや、もう大丈夫だよな?神さま意地悪だもんな。空見るよりも360度見渡せば頼れる仲間がいるもんな。

 

 チルチルとミチルが幸福の象徴とされる「青い鳥」を見知らぬ老婆の娘の病を治すため森の中に探しに行く。ところが青い鳥は見つからず。実は「幸福とは気がつかないだけでごく身の回りに潜んでいるもの。しかも自分のためだけでなく、他人のために求めるとき、それははかりしれなく大きくなる」(「青い鳥」モーリス=メーテルリンク)

次試合は1月13日(日)10時より駒沢屋内球技場にて、都立城東高校との対戦となります。
応援よろしくお願いします。

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