――縦の糸はあなた 横の糸は私 織りなす布は
いつか誰かを 暖めうるかもしれない
なぜ生きてゆくのかを 迷った日の跡のささくれ
夢追いかけ走って 転んだ日の跡のささくれ
こんな糸がなんになるの 心許なくて ふるえた風の中
縦の糸はあなた 横の糸は私 織りなす布は
いつか誰かの 傷をかばうかもしれない――(中島みゆき)
1月6日から2週に亘って行われた新人戦本大会において日本学園高校は東京都7位の成績を収めた。掲げた目標には今一歩及ばず、不本意な内容と唇をかみしめる者もいるだろう。年始早々、インフルエンザに部が見舞われ、ベストコンディションと言い難いチーム状態で臨んだことは否めない。練習の成果が発揮できず、焦りや不安が長々と居座りつづけた。それはやがて強度のフラストレーションに姿を変え、心身を蝕んだ。そういう意味では同情に値する。ただそれを彼等は労いにも慰めにもならないことを知っている。
少しばかり私の昔話にお付き合いを願う。私は日本学園にお世話になる前、都内の高校で教鞭を執っていた。にちがくの足下にも及ばないレベルだったがバスケ部の顧問もしていた。平成29年度の新人戦の抽選会から戻ったcapは複雑な表情をしていた。〝にちがくです〟〝えっ?にちがく!?〟なんと4回戦(8決)でにちがくと当たるではないか。でも考えようによっては凄いこと。何故ってあのにちがくと公式戦でガチンコ勝負が出来るのだから有り難い。どれだけうちが通用するのか図るいいチャンスと捉え、徹底的に稽古つけて戴こう。その為には絶対4回戦まで負けるわけにはいかない。と目標の掲げ方は少々、捻れているが皆の気持ちはそうして固まった。そしていよいよ待ちに待った本番!私は相変わらず落ち着かず、生徒以上に緊張していた。相手は同じ高校生なんだと言い聞かせ「人」の字を幾度も飲み込んだ。(因みににちがくに敬意を払う意味で礼服を着ていった。)
初めて間近でみたにちがくの猛攻・堅守は凄まじかった。まるでシャチとピラニアとワニが混在するコート。怒濤の如き応援に最早、四面楚歌。為す術無し! 一方、これが全国レベルか!と妙に感心もしてしまう。選手は意外や意外、心折れるどころか楽しんでいる?。〝やばいっすね!にちがく!〟結果は惨憺たるもので課題山積みだったがいい勉強をさせていただいたと一同、やりきった?吹っ切れた?晴れ晴れとした気分に終わる。試合後、私は布施先生の元へ挨拶に行く。「また、よろしくお願いします。」全く、図々しいにも程があるよね。それが半年後にはにちがくに勤めることになったのだから縁って不思議。有言実行? そしてバスケ部に携わることになったのも感謝。
あの時惨敗しながらも呑んだ酒の味はおかしなもんで格別だったのです。いつもだったら勝敗関係なく愚痴しか出ないのに・・・。〝やっぱ、にちがくすげぇよな〟って感じ。
無駄話が多くなりましたが私にとってにちがくバスケ部は永遠にヒーローなんです。仮面ライダーではなくアンパンマンですが。諸君はテレビに映るヒーローと違って完全無欠ではないけれど、人間味溢れているし〝頑張れ、負けんな〟って拳振り上げ応援したくなる下町のヒーローみたいなものなんです。だから今回の結果は何であろうとチームのスタートラインと真摯に捉え次に繋げればいいのです。負けることは決して恥ではないが、同じ過ちを繰り返すことは愚かです。そうならぬためにも春の関東大会予選&インターハイ予選に向けて全員が〝断固たる覚悟〟を決めましょう。精神と技術の鍛錬は相乗効果で強さに結びつくでしょう。自信に変わるでしょう。「心技一体」とは咀嚼すればするほど味わい深いものになり、手を伸ばせどもするりと交わされる蜃気楼のようなものといえましょうか?ヒーローには声援が力の源になります。保護者や仲間たちのそれを背に受け、布施先生の指導の下〝柔能く剛を制す〟 の考え方も武器にと~~っても応援される永遠のヒーローになりましょう。きっと素敵なチームが紡ぎ出せますよ。「頑張る」の語源って〝頑なに我を張る〟らしい(使い方を間違えず実行できればいい言葉)。亥年に相応しく一意専心で頑張れ。さあ春にはどんな素敵な文様の布が織り上がるか誰もが楽しみにしているぞ。