若き審判がにちがくから2人も誕生した。春夏の大会を終え、節目を迎えた3年生。重圧と緊張から解放された彼等は後輩指導にシフトチェンジをはかる。
そんな1学期も終わる頃、チャンスが訪れた。8月15日に「C級審判審査会」を受検することが急遽決まったのだ。勿論、本人の強い意志によるもの。審査会まで僅か、2ヵ月足らず。習うより慣れよと言わんばかりに練習試合では審判を率先してやり、実践で学んでいった。「立ち位置・見方」「プライマリー(審判が責任を持つエリア)遵守」「(ファゥル時等の)オフィシャル・レポート」を初めとする基本から学び、両チームの選手だけでなく、ベンチにいる者もが安全安心してプレー出来るよう努めた。iPadで試合動画を撮り、連日、遅くまで反省会が行われた。
悪戦苦闘の中、出来ることは少しずつ増えるも、要求されることと質のハードルは日毎に高くなっていく。それでもめげることなく高みを目指し、笛を吹き続けた。
審査会に向けて審判着一式を揃え、それを身に纏い吹く。技術の向上と共に審判着が様になってきた。馬子にも衣装といった次第
審査会当日は終戦記念日。蝉時雨舞う中、会場に向かう。審査内容はモデル校がプレーするゲームを1本吹くこと。コート脇には役員の先生方や上級審判の方々。錚々たる顔触れに否が応でも緊張はMaxに。冷静になれ、いつも通りと自身に言い聞かせながらも感情と体はギクシャクと追いつかない。
長い40分を終えると試験監督から反省を戴く。2人とも厳しい反省だったようだ。帰路の電車の中では終始無言だったようで、重圧から解放されても尚、精神のダメージは強く、疲労困憊といった感じ。
それだけに合格という通知が来たときの嬉しさと言ったらなかっただろう。つい先日、高体連に本登録してこれで晴れて「C級審判員」。
まだワッペンは届かないがそれを胸に付けて笛を吹く姿には凜々しさすら感じられるに違いない。これまでは支えられる側に位置していた2人。これからは支え見守る側に変わった。どうぞ高い向上心でこれからもバスケに携わられたし。