東京都新人戦本大会最終日、その日は朝から冷たい雨がしとしとと降っていた。こういう雨を「寒雨」というらしい。平野部でも降雪との天気予報。お日様絶好調の日もいいが、こんな日も嫌いではない。落ち着いた1日の始まり。
「花は盛りに、月は隈なきをのみ見るものかは。雨に向かひて月を恋ひ、垂れ籠めて春の行方知らぬも、なほあはれに情け深し。咲きぬべきほどの梢、散りしをれたる庭などこそ見どころ多けれ。」(徒然草「花は盛りに」) なんつって。
10:30に会場入りを済ませ、準備に入る。今日は専修付属高校との一戦。これまで2敗を喫しているため、是が非でも勝利し、東京3位の座を掌中に収めたい。
長かった新人戦も漸く、終わる。にちがく勢には初めての決勝リーグ故に気持ちの維持やプレッシャーに気を使ったことだろう。初戦の八王子学園高戦では大健闘の展開に会場が〝もしかしたら?〟という空気に包まれた。杞憂は〝できる!いける!〟と一転。続く國學院久我山高戦は気負いすぎたか、不安があったからか過去に見ないほどの惨敗を喫した。〝何もやらせてもらえなかった〟に非ず、〝ナニモデキナカッタ〟〝シヨウトシナカッタ〟に尽きる。中島みゆき曰く「私の敵は私」ということ。そして迎えた3戦目。
東京都1位の目標は潰え、関東新人出場枠も指を咥えて見るだけ。
最終日の専修大付属高戦、チームは心身共に万全にあらずとも最後までにちがくらしさを貫くのみ。
スタートで起用され♯11の選手のプレーが引き立ち、リードを維持。監督も絶賛するほど。果敢に攻め、堅く守り試合を有利に導く。前日の試合では途中交代で出場するも、緊張やプレッシャーから思うようなプレーが出来なかったために余程、悔しい思いをしたか。今日は見違える程。
でも、中々、突き放せず。敵の執念は半端ない。安心して見ていられない。
そして40分の試合終了を告げるブザー(にちがく勢が肩の荷をおろす)と共に私は大きくため息を一つ。
見ているだけでこんな気持ちならコート上の彼等の心身はさぞかしと慮ってしまう。
試合終了を待っていたかのように冷たい雨は、あがった。
東京都3位。群雄割拠のリーグ戦。目標には今一歩であり、悔いと課題が突きつけられもしたが収穫もあった。春夏の公式戦には少し時間は空くが次こそは!の思いで今度こそトップの座に君臨しようか。
余談。決勝リーグの始まりと共に漫画「スラムダンク」を読み返してみた。1回戦敗退チームが決勝リーグに進んだ。下馬評を覆し見事インターハイ出場の湘北、と今、読んでも心躍る。否、昔、読んだ時の思いに非ず。にちがく勢と重なるからこその気持ちと言うべきか。〝「負けたことがある」というのがいつか大きな財産になる〟とは名将の台詞。決勝リーグによってチームの課題が浮き彫りにされ、敗れたことが常に挑戦者としての気持ちを持ちを思い出させ、奮い立たせ、更なる成長に繋がるであろう。
・・・「雨あがる」。・・・あがった。にちがく、全国に向けて再始動。
追伸。長きに亘った今大会は東京3位という結果で幕が降りました。会場に足を運んで応援してくださった方々を始め、保護者の皆様、にちがくファンの皆様、バスケが大好き!という皆様、有り難う御座いました。春の大会では飛躍から飛翔へバトンを繋ぎ、またいい報告ができるよう致します。ありがとうございました。