最近、頓に話題になるのが人工知能。高校創発の最初のテーマも「AI・ロボットには奪われない力」でした。人口知能と共に頻繁に使われるようになったのが「シンギュラリティ」という言葉。英語で書けばSingularityです。この用語の意味を調べてみると、「人工知能が人類の知能を超える転換点。または、それがもたらす世界の変化のことをいう」と書かれています。
この「シンギュラリティ」という言葉を最初に聞いたとき、私はこれとは違った意味に勘違いしていました。Singularityという英語は本来、①時空の到達点②奇妙なもの③単一、単独といった意味があります。私は③の単一、単独の意味だと思っていました。
単独性を表すSingularityとは、簡単に言えば、「代替不可能」ということです。ある評論家は、これをうまく説明しています。「失恋した人に、他に相手はいくらでもいるじゃないかと慰めるのは不当だ。失恋した人は、この女性(または男性)に失恋したのであって、この女性(男性)は、女性(男性)という一般概念に属さない」と。 Singularityとは、私たちがよく使う言葉で言えば、「かけがえのなさ」ということです。
私が勘違いしたのは、Singularityを、AIには代替できない人間の単独性と取った点でした。
コンピュータは、全てが交換できる世界を前提として機能するはずです。際限なく反復されるものは全て同じ価値を持ち、私たちの生活の隅々まで浸透していきます。しかし、その中で欠落してしまう「代替不可能なかけがえのなさ」を私たちは無視するわけにはいかない。それを「シンギュラリティ」と呼んだのだと早とちりしていました。
「シンギュラリティ」の正しい用語解説によれば、「AIの知能(性能)が、私たち人間の知性を超える時点」を意味し、人間の頭脳では予測不可能な未来の始まりが2045年と予測されています。人間がしている仕事の多くをAI技術が行う時代が到来するのも事実でしょう。
しかし、勘違いした方の「シンギュラリティ」(単独性)のもつ意味合いは小さくないと、私は考えています。皆さんはどう思うでしょうか。考えを聞かせてもらえれば幸いです。
2学期も終了し、高1学年は後半戦を残すのみ。ここまでの高校生活を振り返って、改善すべきところを見極め、来年に臨んでください。