大学院生時には指導教授との1対1の講義が週一回あったのですが、1対1なのでよく内容が脱線し雑談をしたり、人生相談をうけてもらったりと、私の人生の中でも意義深い時間を過ごしました。その中で今でも印象深く覚えている内容があります。ある英単語を日本語に訳す際に、その英単語が英語の体系の中で本来もっている意味が損なわれ、もしくは理解し辛くなってしまうことがあるといった内容でした。
“solar system”、”body system”、”transit system”これらの3つの英語を日本語に直すと、それぞれ「太陽系」、「体組織」、「交通網」と別々の日本語となります。”solar system”は、ソーラー発電パネルではないですね。よく生徒が間違えますが。このように、別々の日本語があることで、本来の”system”という語が持つ意味、そしてこれらが共通して表す事柄が見えにくくなってしまっているのかもしれません。
“system”:「個々の要素が相互作用していて、ある系統だった組織が成り立っている状態」
また、手元にあるOxford English Dictionary 7th Editionでは、system第二義:a group of things, pieces of equipment, etc. that are connected or work togetherとなっております。
少し、小難しくなってしまいました。太陽系を例に取って、考えてみましょう。太陽を中心に、水金地火木土天海の惑星の順で一つの集まりができていますね。これらの惑星群は、お互いの引力で引き合い影響しあい、公転しています。もし、この中の一つでも惑星がなくなったら、どうなるでしょうか。今現在のバランスは崩れ、その後また新しくバランスを取り始めます。
教授に、「もし、下の子供がいなかったら、家族内の関係(システム)は変化しないかな。」と尋ねられた時にハッとしたことを覚えています。家族や集団の中でも、その組織や集団を構成する1要素がなくなったら、関係は変化しますよね。例えば、家族で弟が生まれなかったら、姉(娘)と両親との関係に変化は生まれないはずです。逆に言えば、弟が生まれたら、姉と両親との関係に変化が生まれるはずです。世の中のことの多くのことには、1対1対応というものはなくて、この”system”が存在しているのだと気付いた瞬間でした。家庭、クラス、部活などで問題があった際には、この”system”が存在していると理解できたら、自分の立ち位置や一時の状態だと思えるのではないでしょうか。
祇園精舍の鐘の声、諸行無常の響きあり。娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。奢れる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。猛き者もつひにはほろびぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。
私の主題とは少しずれるかもしれませんが、上記の文を古典の授業内でも生徒が暗唱しております。これが意味しているように、永遠と同じ状態でいられるものはありません。
人として成長出来るのは人との交わりの中でだと思います。集団の中でその”system”を感じてよりよい人生を歩んで成長していきたいと思っておりますし、その集団(学級や教師達)が”system“としてより良く機能するように努めていきたいと思います。
※ 写真は勝田先生の英語の授業風景です。