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「AIが人の知を超える時代に備えて」 水野重均校長先生

投稿日2020/1/8

 冬休みに入るときに紹介した甘利先生の本「脳・心・人工知能」を読んだでしょうか。特に6章・7章は、みなさんがこれから生きていく上で学ぶべき事柄が多く述べられていますので引用します。 

 「ロボットに、この心を持たせることができるだろうか。将来、人とロボットが共生する社会がくれば、ロボットは人の心を理解して対応して欲しいと私は思う。ロボットが人の心の働きを理解し、シミュレートすることは、そう難しいことではあるまい。(中略)しかし、私たちの人生は一回限りの掛け替えのないものである。人は誕生し、成長し、そして亡くなる。一回限りの人生を生きる中に、喜びもあり悲しみもある。自分を律してよりよくしようと努力する。人は信念を持ち、自分に誇りを感じる」

 2045年には、AI(人工知能)技術が人の知性を超えるであろうと予測されています。これはシンギュラリティ(技術的特異点)と呼ばれ、2045年問題としても話題になっています。この頃になると今の職業の70%が無くなってしまうと世論は不安をかきたてていますが、一方その予測では72%の新しい仕事が生まれるとも言っています。手をこまねいて成長の歩みを止めてしまわなければ、さほど不安に陥ることはありません。

 さて、そのような時代に大人として活躍する諸君が大事にしなければならないのは、引用した文面の末尾にある「人は信念をもち、自分に誇りを感じる」という部分です。自分に誇りを感じるためには、自分に自信がなければなりません。自分に自信を持つには、自分の「得意」を持つことです。「自分の得意」……これはどこかで聞いたことがありませんか。そうです「人は得意な道で成長すればよい」。日学の創立者、杉浦重剛先生の言葉です。

 好きなことと得意なことは似ているようですが少し違います。好きなことは得意なことの入り口でしかありません。好きなことを入り口とし、知識を深めたり技術を磨くことで知恵になり、ある一定のところまで達して始めて得意になります。そのためには多くのことを見たり聞いたり体験することが必要です。それと同時に好きなこと以外の基礎基本も大切にし、多くを学び感性を鍛え人としての裾野を広げておかなければなりません。得意をみつけたならば、さらに得意を伸ばすために「志」が大事になります。

 よく「あなたは何になりたいですか?」と問われることがあるでしょう。すると例えば医者になりたいなど職業を答えることが多いのではないでしょうか。それも一つの答えでしょうが、その問をもう一歩進めて「あなたはどんな大人になりたいですか?」と問を変えてみて下さい。そこで出てくる答えは「医療で人の役に立てる人になりたい」など自ずと変わってくるはずです。自分がなりたい大人が想像できれば、それを実現する職業の幅はグンと増えてくるはずです。

 シンギュラリティの時代をよりよく生きるためには「どのような大人になりたいか」という問いに応え「志」を立てることが今の諸君にとって大事な課題となります。コンピュータには替えられない一人の大人として成長することを願っています。

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