皆さんは、お気に入りの「四字熟語」がありますか?
「好きな言葉は?」「好きな四字熟語は?」などと聞かれたときに、瞬時に言葉が出てくる人をちょっとかっこいいな、って思います。
なぜなら、日頃心に留めている言葉は、その人の「生き方」を表すような気がしますから。
そんな言葉がすぐに返せるということは、「こんなふうに生きたい」「こう在りたい」という気持ちを持って日々を送っている人、という気がするのです。
日本学園中学校では、新年を迎えた始業式の日に、毎年全員で「書き初め」をします。書く「四字熟語」は、冬休み中にじっくり考えます。
新年、澄んだ冬の空気が漂う爽やかな午前中、講堂に集まり思い思いの「四字熟語」を書き上げました。
目標や人柄だけでなく、心の落ち着きや秘めた思いまでも、たった四字の漢字が表してしまう書道は、とても奥深い日本文化です。
一筆一筆、一字一字、集中して一生懸命書くから、
どれも味があって、どれも本当に素晴らしいです。
あちこちで「AI(人工知能)時代到来」と耳にする今日この頃ですね。
どんどん「無駄」と思われるものを省き、効率的。時間短縮かつ人手不要。
しかしそれと同時に、私たち人間にとって「必要な無駄」「省きたくない無駄」が、いよいよ生き生きと輝きを放つ時代の到来でもあるのか、と。
それは、心の豊かさ、真に豊かに生きるという言葉でも言い換えられるような。
日本の心豊かな伝統行事、「書き初め」をする生徒たちを眺めながら、そんなことを感じました。
中学生にはあまり聞き慣れない、でもかっこいいものを。
「抜山蓋世(ばつざんがいせい)」・・・強大な気力がみなぎっていること
「磨穿鉄硯(ませんてっけん)」・・・物事を達成するまで強い意志を持ち続けること
「鎧袖一触(がいしゅういっしょく)」・・・相手を簡単に打ち負かせてしまうこと
「捲土重来(けんどちょうらい)」・・・一度失敗した人が巻き返すこと
私が好みなのは、見晴らしのいいもの。
勢いも強さもお手軽さもなく、まだしばらく辿り着かないのだけれども、遙か遠くを見渡せて、一歩一歩そこへ向かって歩くような感覚が好きです。
「鵬程万里(ほうていばんり)」・・・遙かに遠い道程、旅程
「長汀曲浦(ちょうていきょくほ)」・・・曲がりくねって続いている海岸線
・・・きっと本来の性格が、生まれ干支通りの「猪突猛進(ちょとつもうしん)」なものですから・・・、こんな静かな渚の風景に心惹かれるのだと思います。