これは、私が物心つくかつかないかの頃に北海道の幌泉という漁村で、網元の娘として育った祖母から教わった話です。
「味噌を持ち歩こうとして、竹筒に詰めるんだけど、詰めても詰めても竹筒の中の空気に味噌が跳ね返されて、あふれ出てきてしまうの。けれど何度反発されて跳ね返されてもあきらめずに詰め続ければ、最後には竹筒は味噌で一杯になるよ」
途中で諦めずに最後までやり抜くこと、辛抱強く頑張り続けることの大切さを、私はこの言葉から教わりました。
教員となり、部活の指導や生活指導にあたっているときも、期待通りにいかなかったり、信じたことが嘘だったり、心が折れそうになったとき「竹筒に味噌・竹筒に味噌」と唱えながら、最後には思いが通じると、目の前の生徒に全力で関わってきました。
私の祖母という、市井の人々のありふれた言葉ですが、これは私にとっては生徒の可能性を信じ続けられる魔法のような言葉です。今も、とても大切にしています。