故郷(ふるさと)への帰省を憚り、かれこれ2年近く経とうとしている。コロナ禍がそうさせているので致し方ないのだが、時折、無性に望郷の念に駆られる。幼少期は辺鄙で何もない半農半漁の町が物足りなく、外の世界に憧れていた。晴れた日には東京湾の彼方にくっきり見える横須賀がなやましく映った。だから進学に際した上京は不安とは無縁の心躍る冒険心に満ちていた。あれから喜びも悲しみも幾年月、早20年余、今もって心の拠り所であることは言うまでもない。いつになっても生きることに必死で余裕なぞあるわけがない。金も時間もない。あるのは危機感だけ。いまでこそ人生の年輪を俯瞰できる年になったが都会の暮らしに疲れ、自暴自棄に見舞われしこと数知れず。星を見てため息1つ2つ。後悔、絶望、不安、不信・・・。負の感情に覆われたときはきまって無意識に故郷を思い出す。
帰省できないので最近はyou tubeにて故郷の紹介動画をつい視聴してしまう。相変わらず何もない町で変わり映えもなく、でも、変わらないからこそ感慨深い気持ちに導かれる。アクアラインを使えば車で2時間とかからないその町は、今は海を隔ててやけに遠く感じる。
先日、時間差で実家と叔父から地元の名産がどっさり詰まった宅配便が届いた。無造作に詰められたそれらと覆いに使われし古新聞に暫し、手を止め物思いに耽る。
「ふるさとの訛なつかし 停車場の人ごみの中に そを聞きにゆく」と石川啄木は短歌に望郷の念を歌い上げたっけ。啄木は波瀾万丈な人生を送り、26歳の若さで夭逝している。私は彼の齢を疾うに超え、人生も曲がり角にさしかかっている。果たしてこれから私は何処に向かっていくんだろう。いつまで生きられるのだろう。不毛な問につい苦笑。
久しく、地元の言葉を耳にしていない。潮の香もかいでない。田植えも稲刈りも見ていない。クワガタも蛍もそして、満天の星たちも。嗚呼! 嗚呼・・・。夏休みには教育実習以来の母校に行ってみようかな、勝山の友達に会いに行ってみようかな。
故郷、 郷里、 郷土、 国、 田舎、 在所、 国もと・・・。帰れる場所があるのって・・・。
https://www.youtube.com/watch?v=mUC2LpMLLWQ 20分~たまんない!
https://www.youtube.com/watch?v=sBWrEliexmQ 実家の直ぐそば!栄えてるほう!
https://www.youtube.com/watch?v=Xjga1QiXRjI 必見ならぬ必食!
https://www.youtube.com/watch?v=H2aEhb5Y62A 母校の近く。この先の海に毎日通った