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神野正司著『世界史劇場 第二次世界大戦 熾烈なるヨーロッパ戦線』ベレ出版(オススメの一冊シリーズ) 勝田先生(高3D担任・英語科)

投稿日2021/7/28

 高校時代は地理を選択したので、日本史や世界史の知識が欠けているなと思い暇を見つけては歴史の本を読んでいます。
 こちらのシリーズの書籍紹介をどこかで読んで読み始めてみました。このシリーズでは、(ナポレオン)、第一次世界大戦、ビスマルク、ナチス、第二次世界大戦を通して近代のヨーロッパの歴史の流れを解説してくれているので、理解がしやすいものでした。章立ても細かく分かれていて、さらにイラストで地理的なイメージも加えつつ段階を追って説明する形式なので、あっという間に読み進めていくことができる書籍です。

 政治離れが叫ばれて久しい昨今、先日の東京都議選も悪天候の影響もあったのでしょうが、前回よりも投票率が下がったとの報道があったと記憶しています。このシリーズを読み、政治は理想だけでは実現しないということが分かった気がします。国内のまたは国際的な政治的な力関係、歴史的な背景による国民(大衆)の意見、為政者の思惑、国益など様々なものが絡み合って歴史が作られているのだと理解できた気がします。そう理解すると、身近な政治にも今までよりも興味を持てるのではないでしょうか。

 その歴史的な結果には原因があることは分かっていたつもりでも表層だけを追っていたのでは歴史から学べません。例えば、第二次世界大戦期にドイツが領土拡大を始めるに至ったのはなぜか、それとほぼ同時期に日本がアメリカ相手に戦争を始めたのはなぜか。結果には原因が必ずあるのです。戦争を正当化するつもりはまったくありませんし、ない方が良いに決まってます。
 しかし、感情的にならず、そこに至った理由を冷静に読み解くことが、歴史から学ぶことでありますし、過ちを繰り返さないことに繋がるのだと思います。

 このシリーズを読んだ後、今現在の社会で国内や国外の政治でおかしいなと感じることには、一つ一つに背景があって政治が絡んでいると思うようになり、その表層的な面だけを見ることは本質の理解になっていないのだと痛感しました。

 ちなみに、このシリーズ通して、章と章の合間に入るコラムが面白いです。含蓄がありますし、歴史に対してのアイロニーもあり、著者の見識や考えの深さが分かります。

 中学生や高校生でも分かりやすい構成になっていますので、このシリーズをおすすめします。

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