この本を知ったきっかけは、NHKFMの「青春アドベンチャー」というラジオドラマでした。当時私は宝塚OGが声の出演をしていた『青髭公の五番目の花嫁』を聴いていて、その次に始まったのが『七帝柔道記』でした。ゆめゆめしいお話の後だったのでてっきり7人の帝王が柔道で覇権を争う和風ファンタジーの話なのかと思ったら、7つの旧帝国大学の柔道部による「七帝戦」に勝つために厳しい稽古をする大学生の話でした。
このラジオドラマがとても面白かったので、すぐに原作の文庫本を購入しました。文体はドラマほど軽妙ではなかったけど、著者の実体験による話なので柔道のシーンが詳しく描かれていて夢中になって読めました。
主人公が挑む「七帝戦」の柔道は寝技中心の高専柔道の流れを汲んでいて、講道館柔道とはルールが全く異なります。主人公は北海道大学の柔道部に憧れて入部し、七帝戦での優勝を目指してひたすら柔道の稽古に明け暮れます。
柔道部の同級生や先輩が個性豊かでみんな柔道にすべてを捧げているので、稽古や試合のシーンは1つ勝つためにそこまで自分を追い込まなくてはならないのかと感情を揺さぶられます。はたして北海道大学柔道部は優勝できるのか…?気になる人はぜひ読んでみてください。
ちなみに著者はYoutubeで自身が大学生のときの七帝戦の映像などを公開しています。
七帝柔道1989 https://www.youtube.com/watch?v=SmlQ-V5Pp9o
実は私、高校時代に授業で柔道を習ったことがあります。当時高校の校庭が数か月工事で使えなくて、その間女子の体育が卓球・創作ダンス・柔道のどれかを選択しなくてはならなくなり、私は柔道を選択しました。授業が始まる数日前に、体育の先生から「柔道を選択した生徒は柔道着を用意してきてください。兄弟に借りるかクラスの男子から借りてくるように。」と連絡があって、ジャージで授業を受けるつもりだった私たちは焦りました。
クラスの男子に消しゴムを借りるノリで「柔道着貸して♪」なんて言えない…。
幸い兄が高校時代授業で使った柔道着をまだ持っていたので借りることができました。
授業は柔道着の着方から始まり、大半は受け身の練習と技のかけ方、逃げ方、ギブアップのしかたを習いました。試合はなく期末テストで受け身と試合形式の実技試験があったくらいでした。習ったことのほとんどは忘れてしまいましたが、先生が転んだときの受け身のとり方を披露して、後ろに倒れたときは後ろ受け身、前につんのめって転んだときは前回り受け身をするといいと説明して生徒全員で「(そんな状況)ないない」とツッコミを入れたのは覚えています。
ところが去年脚の神経痛で杖歩行していて後方に転倒したとき、私はとっさに顎をひいて地面を叩くようにして受け身をとって頭を打たずにすみました。転んで後ろ受け身をとるような状況がまさか自分に巡ってくるとは。30年くらいぶりに当時の体育の先生の顔を思い出しました。「先生、(そんな状況)あった!」って(笑)。