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「研究日の一日」高橋先生(高1学年主任・社会科・山岳部顧問)

投稿日2022/11/18

 木曜日は週に1度の研究日。先日は新宿NSビルで開催されていた「多摩産材利用拡大フェア」に行ってきました。

 日本学園中学では、創発学の一環として第一次産業を体験しながら学ぶ宿泊行事があります。長く続けてきたカリキュラムで一定の評価も得ているのですが、林業は漁業や農業に比べて体験できるフィールドが限られるからか、「林業体験、今後も続けるの難しくないか」なんて声も出たりすることも。
 地理担当として、そして山岳部顧問としても山にお世話になっている身としては、「国土の3分の2が山なんだぜ、林業大事だろ」という思いがあります。そんなこんなで「林業体験、どういう形で続けられるかな・・・」、と調べていたところに見つけたのがこの「多摩産材利用拡大フェア」でした。

 多摩産材とは、東京の多摩地域で生育し適性に生産、認証を受けた木材のことで、現在東京都がその利用を推進しているところです。

 山に入ると、昼間でもあまり日が差さず下草も生えない薄暗い植林地がよくあります。一方で、間伐が進んだ植林地は林相が明るく、下草が生えていて多様な生物が生息しています。多摩の山林には花粉を多く発生する樹齢30年以上のスギ、ヒノキが多く、これが花粉症を拡大させる要因になっているため、近年は花粉の少ないスギへの植え替えのために伐採が進んでいます。
 そこで生まれた木材、つまり多摩産材を東京という一大市場で活用する、地産地消、「都産都消」を推進することで、花粉の少ない森が増えていく、ということもあるようです。多摩産材について調べるほどに「これは絶対に見る価値がある」と思えてきました。ちょうど研究日でもあったので冒頭のイベントに参加してきた次第です。

 フェアではいくつかの出展企業や団体の方から話を聞き、多摩の林業の実態、多摩産材の多様な活用事例を知り、実際に木のぬくもりに触れ、ヒノキの匂いに癒されてきました。身近なところに使われている地元東京の木材のこと、都内の林業の振興が山林の再生さらに花粉症の減少にもつながること、などなど多くの学びを得ることができました。
 本校の林業体験の話をすると、皆さん一様に「良い活動をされていますね。でも都内でそれができたらもっと良いですね」との言葉が返ってきます。

 林業の振興、多摩の山林の再生、花粉症対策、地場産業の活性化、そして切った木材のその後の活用・・・東京の林業って探究テーマの宝庫じゃないか。東京の山はものすごい学習フィールドだ、ということを認識しました。次の山岳部の登山はちょうど奥多摩方面、これまでと違った視点で山を見ることができそうです。

 今日参加したことで、さまざまな業種の方と知り合えたことも大きな収穫でした。やっぱり、ネットや本で「知ったつもり」になってちゃいかんな、実際に五感を使って得ることが大事だな、と再確認した一日でした。

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