「人は得意な道で成長すれば良い」は創立者杉浦重剛先生の教えです。その教えを実践するにあたり「あなたの好きなことは」と聞かれると、あれやこれやと浮かぶものの、「あなたの得意なものは」と聞かれてもなかなか「これです」と答えるのは難しいものです。
「一年の計は元旦にあり」と終業式の時に話しました。一年の計は、何も細かい計画でなくてよいのです。鳥の目で「今年は、これをやろう」という志で構いません。その志を決めた人は、それをしっかりと虫の目をもって実現できるようにしてください。自分の得意なものがまだ見つかっていない人は、まずは好きなことをとことん追求してみてください。好きなことに没頭することで見えない世界が見えてきます。毎日の変化は微妙なものですが、続けることにより、やがて知らぬ間に得意なこととなり、志へと昇華してきます。
これからの時代は、知識や技術なども大事ですが、それ以上に人としての生き様、その人のなり、人格が大事になります。その人格を支える軸となるものが志です。それは、一朝一夕に形成されるものではありません。内面的な強さは、誰かに指示されてできるものでもなく、誰かに評価されるためのものでもありません。たとえ人に認められなくても自分を信じて、地道にコツコツと成長させていくものです。それがやがて自分を支える軸となり、知らぬ間に自信につながります。
この軸がない人は、仕事を任された時に、誰かに指示をしてもらわないと不安になり、自分から工夫して何か事を成そうとはなりません。そのため、それ以上の仕事ができず、結果として大きな仕事はできません。
まだ、若い諸君は「志」を何度も何度も考え、それを実現しようと日々過ごすし、それを繰り返していくうちに、やがて知らぬ間に自分の軸ができてきます。軸を持った人は、何事も自然に身体や思考が働きます。それが「まさかの時に役立つ人」になるのです。
日本学園の教育の精神を受け継ぎ、唯一の自分になるよう「得意な道で成長し、まさかの時に役立つ人」に育ってください。