今年の4月に早稲田大学より博士号(文学)を賜り、約15年間の長い長い長い大学生活が終了しました。嬉しいような悲しいような、不思議な感慨に浸っています。
博士論文では現代日本文学と〈食〉との関わりについて論じました。どうして小説には、あるときには美味しいそうな、あるときには全く食指を動かさない、多種多様な〈食〉が出てくるのか。そうした純粋な疑問が論文を書き始めた出発点でした。
博士論文の一章では、又吉栄喜「豚の報い」という作品を取り扱い、沖縄における〈食〉の特殊性について論じましたが、この本と出会うきっかけは日本学園の修学旅行でした。日本学園の高校2年生には沖縄に関する本の紹介スピーチを行ってもらっていますが、その時に見つけ出したのがこの本です。修学旅行中には積極的に沖縄料理をたいらげて、フィールドワークができたことも良い経験となり、論文の糧となりました。
これからも研究の手を緩めることなく、生徒とともに学問と対峙しつつも楽しんでいこうと思います。